天国と地獄
会社内での権力争いに勝つ為に秘密裡に進めてきた株の買い増しが成功しいよいよ明日の売買で自身が筆頭株主になり実権を手にすることが出来るというその夜に、自分の息子が誘拐される。すぐに自分の息子ではなくお抱え運転手の息子だと判明するのだが、犯人は悪びれもせずそのまま誘拐し続け身代金を要求してくる。明日までお金を払わなければ会社の実権を握るどころか会社を追われ家族が露頭に迷うor従業員の息子の命を助けるのかという絶妙な二択の葛藤に、始めはビジネスを優先させようと決断する権藤であったが、妻に説得され右腕として頼んでいた部下に裏切られるうちに犯人の要求に応じることに。しかし唯一犯人と接触出来る機会の身代金の受け渡しでまんまと犯人に裏をかかれ取り逃がすが子供は無事解放される。結果権藤は会社を追われ邸宅も差し押さえれ窮地に陥るのだがマスコミが事件を報道するとあっという間に世論が権藤を悲劇のヒーローに仕立て上げる。そしてその世論の声に応える形で警察も執念を見せ犯人を最長15年の誘拐罪ではなく死刑まで求刑できる殺人罪(共謀した仲間を殺した罪)で捕まえることで権藤の恨みというより世論の恨みを晴らした。権藤には(おそらく有名になったことから)篤志家が権藤に会社を任せるという話があり何とか路頭に迷わずに済んだようだ。結果としていい方向にすすんだから良かったものの全くたまたまであり権藤の人生は窮地に陥ったままどん底という可能性も高かった。そして最後犯人が自ら面会を希望して権藤が会いに行くと犯行の動機がただの歪んだ私憤であったこと、反省する気も全くない事がとても救いようがなくリアリティのある話だった。本当に結果オーライだがいい方向に転んでくれて良かったと思うしかない。人生というものはほんのちょっとしたことの差で天国にも地獄にもなり得る残酷なものだろう。
専務島耕作2
インド・ハツシバの視察に来た島耕作と四谷嵐子インドのバンガロール(ベンガルール)駐在所長になる大町久美子と市場調査に協力した電報堂の古波、サーバントの母親の葬式に来た男全、孫の6人のニアミスが面白い。それにしてもやはりインドという国のことについては弘兼先生も言ってる通りいつまでも沐浴とITがすごいブッダが生まれた国、ボリウッド、カレーとガンジー以上の知識はない訳だがこれはやはり地理的な事もあるのかしら。それよりはやはり人種的にも近い中国との関係を重視していくのだろうか?相変わらずニュースは圧倒的に中国の方が多い。ともあれ極東の一小国である島国は今後品証とアニメと観光で生きていくほかないのだろうか?ま千年単位で考えると人類が生き残ってない可能性の方が高いらしいから別にええのかも知れへんけど。シニカルになり過ぎても良くないだろうからやってきた事を地道にやり続けるしかないだろうせっかくだし楽しみながら。
ダークナイト
ヒースレジャーのジョーカーが見たくて久しぶりに見たのだがやはり悪役非道っぷりがとても素晴らしい。特に冒頭の銀行強盗で強盗仲間をすぐに裏切るシーン、単身マフィアの集りに乗り込んで煽り倒すシーン、アドリブで有名な病院の爆破シーン。歩き方が良い。(アドリブでもなかったらしいけど)刑務所で昇進したゴードンに拍手するシーン、以前スマホの壁紙にしてたくらい服のセンスや色味が好き、カッコ良い。よくよく考えたらこの映画のバットマンはほとんど負けてんのよな。やられっぱなしで結局最後まで勝つ事なく終わってる。これで絶賛されるヒーロー映画というのもすごいけど。まさにダークヒーローのなせる技。ルール守らなあかん正義とルール無視の悪ならそら悪は絶対有利よね。ちゃんと読んだことがないから分からんねんけど原作のアメコミは完結してたりするのか?一回原作も読んでみたい。
黄昏流星群35
「遊星萌ゆ」東都大学教授の南原春彦は上流家庭に生まれ子供の頃から何不自由のない生活を送り齢も50歳になっていた。ある日偶然入ったメイド喫茶で知り合った金髪の少女ミューと知り合い落とした手帳を家まで届けてくれたことから付き合いが始まる。ミューの方は初めはからかい半分のつもりで近づいただけだったが悪い仲間にそそのかされ美人局をする。女遊びもせず真面目に勉強だけをしてきた春彦は優しいミューがそんなことをするとは疑いもせずに200万もの大金を脅し取られた上大学の権威を失墜させた責任を負い大学を辞職することになるがそれでもさらにミューの裸が流失したことを心配していた。その姿に良心の呵責を感じたミューこと堀井マキはその足で警察に出頭し無事に事件は解決する。「おかえりなさいませ、ご主人様。」小雨降る警察署を出たミューの元に傘を持つ春彦が迎えに来ていた。「嫌われ星好かれ星」高校時代の初恋の憧れの男性と30年以上ぶりに偶然の再会を果たしそこから結婚に至った安藤明日香であったが幸せの絶頂の最中に夫の雅之が若年性のアルツハイマーを発症する。日々病状は進行し日常の生活もままならない状態に陥ってしまうが、その「大変さを楽しむ」という医者のアドバイスを受けて、やがて自分のことも忘れさられてしまう恐怖におびえながらも何回も大好きな夫からプロポーズされる幸せを噛みしめて最後まで一緒に生きていく決意をする。