家族喰い

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凄惨な事件、目を逸らしたくなる様な残酷な内容に思わず本書を途中で置きたくなった。被害者が分かっているだけで11人、加害者、関係者も合わせるとゆうに20〜30人は登場し、しかもそれが養子縁組や結婚離婚などで途中名字や戸籍が変わったりするから最初は相関関係を理解することさえ難しかった。だが著者の丁寧な取材のおかげで段々と整理されて来るとこの事件がたった1人の女の支配者とそれ以外の被支配者に分かれる構図なんだと理解出来た。極悪非道で自分勝手な犯人は奇しくも筆者が取材をしていた北九州で起きた事件と酷似するものがあり、被害者の人たちも同様に優しいいい人たちが多い気がする。犯人から執拗に責められることによって、自分が我慢すれば済む問題だからと良心につけ込んだり身内の他の人間を置いて自分だけ行けないという感情を利用したり、暴力団の存在を匂わせて脅したり、身内同士で密告をさせ、暴力を振るわせるなど類似点は枚挙に暇がない。こうならない為にはとにかく先ずは自分が逃げる、何をおいても自分自身の身の安全を確保することが大事かと思う。どれだけ卑怯だと言われたとしてもまずは自分が逃げる。身内を助けるのは外に出てから図るしかないと思う。あとは民事不介入の原則に組織の論理丸出しで応対する警察にはかなりきついお灸を添えなければならない、昨今家庭内暴力や子供への虐待などはだいぶ不介入の原則が変わりつつあるのだから、二度とこういう陰惨な事件を起こさない為にも抜本的な改革をして欲しい。飲酒運転は殆ど減らすことが出来たのだから(これも遅い改革ではあったが)現状では未成年保護法も考え直す時期に来ていると思う。やられ損などは一番平等の感覚から遠い、人の生きる希望を奪う行為だ。だからやらな損とばかりに法を破る人間が出てくる。あとは防犯対策としてカメラで超監視社会を敷く以外にないと思う。それでも防げない事もあるとは思うが少しでも犯罪の検挙率を上げる為に断固やる必要があると思う。というかもうCIAにはプライバシーを覗かれてる現状があるらしいし。それが可視化されるに過ぎないと思えばいいのではないか。それくらい急進的な意見を言いたくなるくらい人生を蹂躙されることへの怒りがある。何人も他人の人生の上に自分の幸せを打ち立てることは間違っている。解説でまだ著者がこの事件を追いかけていることが明かされた。今後もこの著者の活動を追いかけ作品を購入することで微力ながら応援したいと思う。