55歳からのハローライフ

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文庫本解説の人と同じ勘違いをしていてタイトルが「55歳からのハローワーク」だと思っていた。著者のヒット作「13歳のハローワーク」の55歳バージョンだと。そのつもりで手にとってみたら小説だったが結果としてその方がよりリアルに感じる事が出来た。「悠々自適層」「中間層」「貧困層」の人々が登場する5つの中篇。それぞれの立場、環境の55歳の人々はどう思い考え過ごしているのか。変な言い方だが凄く勉強になった。自分は今年40になったのであと15年の過ごし方でこの人生の後半生、だいぶ変わってくると思う。もうすでに大勢が決したかのような人生の状況で、「悠々自適層」、「中間層」にはなれないが、「貧困層」の上の方を何とか目指すべきだと思う。正直、経済的にはホームレスの福田さんより少しマシの状態だからそれくらいがベストではないだろうか。

 


また「ペットロス」のところでは全然意思の疎通が出来ていなかった夫が妻に宛てた手紙で「だから、たとえ、どれほどの苦しい状況に追い詰められても、簡単に死を受け入れてはいけないのだ。ボビーが、そのことを、身をもって教えてくれた。生きようという姿勢だけで、いや存在するだけで、ボビーは私たちに、力を与えてくれたのである。」と妻のことを理解していたところは感動したし、良かったなぁボビーと奥さんと思った。

 


自分もネコ飼ってるからいずれ迎えないといけない瞬間に、少し心の準備が出来た。

 


そして「空を飛ぶ夢をもう一度」では最後亡くなった友人の福田さんの墓の前で「実は、おれのほうも、不安だらけで、正直生きるのが苦しい。しかし、少なくとも家族がいて、まだ生きている。そして生きてさえいれば、またいつか、空を飛ぶ夢を見られるかも知れない。」と結ぶ。

 


そうか、生きてさえいればいいんだ。

 


そう思おう。