部長島耕作9

玲子(耕作の元妻)と偶然に出会ったタイミングで元家族だったよしみから玲子が置かれている立場をそれとなく伝える耕作。それを感情的にならず冷静に受け止めて一瞬で客観的に判断し自分の意のままに相手を陥れる企てを速攻で計画し実行する玲子。才女っぷりがえげつないし行動力もあり機転も利く恐ろしい女性である。島耕作がトムクルーズのイーサン・ハントなら玲子はまるでMr.&Mrs.スミスのアンジェリーナ・ジョリーさながらである。官僚やリーダーには向いているだろうが、女房には向かない。非情さが怖い。娘の奈実がその遺伝子を継いでると思うと複雑ではあるが間違いなく頭が良い。さてそんな中耕作は12年ぶりに三たび出会った鈴鴨かつ子との、焼けぼっくいに火がつきまくり。今後の展開を見守っている。おそらく読者の中でも一番か二番人気の彼女だが薄幸そうなのがやはり気にかかる。最善を尽くすのに何故かいつも不幸な結末を招いてしまう。経験豊富な玄人の男衆でさえも狂わせる魔性。そういう意味では一番危険な女かも知れないが一緒に堕ちていきたい…と思わせる。そして歌舞伎役者二世の野添まどかとの出会い。彼女のことを育てて行くことになりそうなサンライトレコードだが、そのタイミングで運悪くハツシバ本社の思惑で(というより自分たちの派閥の拡大を狙って)ここ最近の業績好調さに水を差しかねない状況になるかもだ。一瞬も気が抜けない、ほんと弱肉強食の世界だなあ、ビジネスの世界。休まることがないしやらなければこちらがやられる世界なんだなぁと今さらながらにそう思う。