選挙戦のまつりのあとで

選挙戦が終わって次の日に維新の松井代表が来年の参院選改憲の投票をするべきだという話題をいきなりぶち上げた。維新を支持して投票した有権者の中にはそのことを考慮せず投票した人もいたはずで突然後出しジャンケンのように言い出しことに驚いた人も多いだろう。大体選挙中にそのことについてほとんど言及していなかったのだから当然と言える。又こういうセンシティブな議題は勢いのあるうちにねじ込んでしまう類のことでは絶対にない。維新の会は支持母体がないので唯一の支持母体と言える「風」を読み「風」を捉えている間にことを進めてしまおうという底意が見え隠れする。だがその辺りは時期尚早に過ぎるし強引にことを進めれば又大阪都構想の二の舞にいや三の舞になりかねない。そしてそれはそのまま自分たちの勢いを失うことにもつながりかねないのでここはせっかくピリリとしない政局で出始めた存在感を生かして今のうちに吉村人気頼みからの脱却を図り地道な党勢拡大を目指すべきだろう。次の顔を一人でも多く作っておくべきだ。カリスマ的な人気だけで国の重要政策が決定できるほど単純ではないし複数の顔が見える政党こそ本当の(風頼みでない)自力ある政党と認められる。

 

選挙戦からしばらく経って出て来たニュースによると維新を支持する層は30代40代が一番多いらしい。その他の既存の政党は50代60代以上が多いという結果だった。若い層を掴んでいるのは維新が頭ひとつ抜けている。何か変えてくれそうな雰囲気を国民は欲しているし若い世代は政治家が考えている以上に疲弊しているのかもしれない。その意見を掬い取ってくれそうな維新に支持が集まるのは当然のことなのだ。その辺りを他の政党は真摯に見習うべきである。こういっては何だが年寄りばかりが政治運動に熱心でも若い人たちは魅力を感じないだろう。自分たちと変わらないか少し上の世代の人たちが頑張っているとなれば少しは共感を得られるはずである。世代というものは実は侮れないとても大きい枠組みだ。その辺りはメディア戦略も含めて他の与野党ともに考え直す時期に来ている。

 

今回の選挙の結果で一番気になることは当選した議員の女性の割合が10%にも満たなかったことである。そのことについてもう少し活発に議論されるべきはずなのだがそこまでの盛り上がりはない。相変わらずのこの国の反応ではある。もちろん意識の変化には時間がかかるしセンシティブな話題なのは理解しているが、この国に限らずヒステリックに女性の権利を訴えるフェミニストとそれを揶揄する男性の構図が固定化されてしまっている今これ以上の進展はひとまず望めないのかも知れない。ステレオタイプではない別の切り口からの変化あるいは浸透が必要だろう。日本では私は数字の上だけでも25%達成させてから色々調整するやり方があってもいいのではないかと思うのだがこの国はまあ絶対しないであろう。そのことはいくら強調してもしすぎることはない。

何故そこまで女性に期待するのか。それはもうおそらくこのままいくと改憲の流れは止められないと覚悟したからだ。私自身はアメリカにいいように使われるだけになると思うので改憲には絶対反対だがその方向に向かう公算が高い。ならばそれを止められる最後の砦は女性しかいないと思ったからだ。女性が意思決定の50%を占める時(25%でもいい)戦争に向かうことを止められるはずだと思ったからだ。これはもう願いというか祈りに近いのかも知れないがもうそのぐらいの窮地にまで立たされているそんな実感を私は持っている。この考察が外れることを私は願って止まない。