老後の資金がありません

f:id:naok1mor10513:20181114084942j:image

 

最近よく見る(ひょっとして自分が気になっているから目に入るだけなのかもしれないが)老後小説というジャンル(そんなのがあるのかどうかは知らないが)タイトルずばり「老後の資金がありません」僕も-まさに-その口なので何かしら参考になるかしらんと思って手にとった。まさに高齢化社会ならでは紛れもなく現代を描いた物語だなあと思う。最初は正味どんだけ抹香臭い(失礼)話しが飛び交うのかと思いきや、序盤から中盤にかけてあれよあれよと貯めてきた資金が世間体を気にする余り尽き、気づけば抜き差しならない貧困に追いやられ、さらに追い討ちをかけるように夫婦で仕事をクビになってしまう。いよいよ恥も外聞も捨てざるを得なくなり、姑に対しての仕送りも送れない状況に陥った主人公の篤子は、閉塞感でパニックになり仕送りを送らない代わりにマンションで姑と同居するという思ってもみなかった暴挙の様な提案を口走ってしまう。いよいよ万事休す、嫁姑問題が巻き起こるのかと思いきや、事態は思わぬ方向へと走り始める。前半はリアル過ぎて読んでいて息がつまるほどであったが後半の見事な疾走感で最後まで一気に読ませてくれる。見事なエンターテイメント小説。うん、多分何とかなる、そう思わせてくれる希望の物語。