色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

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騎士団長殺し」から続けて読んだが今回も面白かった。どうしてこんな描写が出来るのか。思わずうっとりしてしまう。文章でうっとりするなんてなかなかない経験だ。レビューで酷評されていると聞いてあまり期待しないで読んだが(確かに最後の最後で特に何も解決しないから不満が出るのは分からないではない)がそれでもその過程だけで十分楽しめた。最初のインパクトが強ければ強いほど、回収が難しくなるのは当然だろうけどそれがなくても素晴らしいし、びっくりするようなオチなんて早々ないものだと思う。そんでまた取ってつけたようなオチだと興ざめしそうだしどんでん返しは1度目はいいが2度目以降は魅力が半減してしまう気がする。それはそれで年老いた夫婦みたいで良いのだけれど。映像化したくなる気持ち

は分かるけど映像化しにくいだろうなと思う。小説で読むのが1番良いように作られている気がする。スコッチウィスキーのような芳醇な香りを楽しめば良いのだと思う。次は1Q84を読もう。出た当初に読んだから2回目だ。いつもながらほとんど覚えていないのだけど。