2001年宇宙の旅

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今から50年以上前の1968年当時にこの映画が発表されたということにまず驚きを隠せない。その当時からそして今も宇宙の指数関数的なスケール感は人類には身体感覚として掴みにくいが、開始すぐの真っ暗な暗転が5分ほど続く中、R・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れ始めることで観る者に広大な宇宙の規模を疑似体験させている。もうこれだけでこの映画を見た甲斐の半分はあったと言える。それと見終わってから知ったウィキペディア情報だが、結局実現には至らなかったものの当初この作品の美術担当に手塚治虫へ打診があったと知ってめちゃくちゃテンションが上がった。結局は手塚が多忙過ぎた為に実現には至らなかったらしいが後世の人類の為にもこのコラボは是非実現させてほしかったと思う(絶対もめてただろうけど)アベンジャーズのやり方のあとは作り手側のアベンジャーズ化というのはどうだろうか?(プロデューサが大変やろし大物同士のミュージシャンのコラボがあまり良いものがないから実際は難しいだろうけど)それはともかくキューブリック作品の美術はいつも素晴らしい。宇宙船内部や最新のコンピュータHAL9000のインターフェースなんか明らかに現在のプロダクトデザインに影響を与えている。キューブリックは実は宇宙人か未来人なのではないか。特に最初本編を見ただけでは分からなかったが見終わってあらすじの解説サイトを見ると「スペースチャイルド」と言う概念を描いていることに驚愕した。いままではこの映画は人工知能の発達により賢くなり過ぎたコンピュータが人類への反抗を企てるという後のSF映画のモチーフの原点を確立したことへの評価だと思っていたが、実はこの映画はその先のここ最近ユヴァル・ノア・ハラリが書いたことにより広く一般に認識された「ホモ・デウス」(人類がホモ・サピエンスを超えた人類へと進化すること)を「スペースチャイルド」という名前で描いているのではないかと思った。だとすればいよいよこの世の人とは思えない。死して尚こんなに楽しませてくれる一人の映画監督に三度驚き感動を禁じ得ない。