サピエンス全史 上

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ようやく読めた。色々なメディアでこの本が面白いと聞いていて読もう読もうと思いつつ、ついつい後回しになっていたが、ホモ・デウスを先に読んでとても面白かったのでこの本も手に取った。ホモ・デウスでは未来を描いていたがサピエンス全史では過去数万年数十万年から人類の歴史を遡り何故いま我々はこうして生きているのかを丹念に俯瞰的に正視眼的に書いていく。人類がここまで栄えた理由の一つに『虚構』の共有がある。それは人類にしかなし得なかったことで血の繋がりどころか面識もない人間同士が協力する事を可能にした。ただショックだったのは自分たちが(良かれと期待を抱いて)狩猟を辞めて農業を始めたのだが、生活に余裕ができるどころか個人としての生活はずっと苦しいままだったらしい。種としては指数関数的に人数が増えていくのだが所詮個人の意思など大きな流れの中では大したことない。そういう計算違いは実際よく起こりうるらしい(俺は20歳以降ずっと計算違いをしている気がするが…)人間には自然に人口を制御する仕組みがある。人口を繁殖させるのに条件の良い時期には女性は早く思春期に達し、妊娠する可能性が少し高まる。条件の悪い時期には思春期の到来が遅れ、繁殖力が落ちる。ここでもまた個人の意思は大海原に浮かぶ笹舟のように頼りない。「牛という種の数の上での成功は、個々の牛が味わう苦しみにとっては、何の慰めにもならない」家畜という単語が自分の中で別の意味を持ち始めた。それでも幸せを求めてしまう自分は何て健気で純粋で考え違いをし甘えているのだろうか。複雑な心境になる。人智を超えた世界の流れを分かりやすく眼前に提示されると自分1人の存在がいかに脆弱なのかなんて愚かなのだと自暴自棄になってしまう。けれど一面残酷ではあるが逆に考えると自分ではどうしようもない部分が多々あると割り切って自分なりの思い描いたストーリーを生きていけば良いとも言える。どう生きたいかを自分で選び取る事も可能ではないか。と少しだけ希望に転換してみる。下巻も読もう。