童夢

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これが出た頃の衝撃たるや相当凄かったんじゃないだろうか?それくらい今までの漫画とは異質であり圧倒的な画力、絵の迫力、ストーリーの斬新さに魅了されずにいられない。日本の漫画界を語る上で「大友以前、大友以後」とひとつの分水嶺のように語られるのはまったく当然であろう。のちにジャパニメーションといわれ世界を席巻していくことになる日本のアニメ界の強力な牽引者、大功労者のひとりである。それくらいの天才、才能を持ったひとだと思う。奇しくも2019年の現在はAKIRAの時代設定の年であるが(来年東京オリンピックを控えているのまで一緒)むしろこの童夢の方が今の時代にとてつもなくマッチしている気がした。もはや寒気すらするくらい(高齢化による人口の減少、経済の後退。疲弊した経済と民衆の荒廃。祭りのあとのような狂乱の後に来るどっちらけた冷めた民衆のシニカルで偏執的な心情が実に今とそっくりではないか。そしてさらに荒廃と退廃が進んだ数年後にはAKIRAの世界のようなネオトーキョーの日本が出現することになるのか?あるいはもっとマシになっているのか?あるいはもっと悪くなってシンシティのようになっているのか?ここからが本当の「未来の黙示録」なのかもしれない。なかなかハードな時代がやってくる、われわれが後に残すのはそういうグロテスクな世界かも知れない。大友克洋の作品は全て読もう。