最強伝説黒沢
ホリエモンさんが著書「これからを稼ごう」の中で黒沢について書いていたのをきっかけでメルカリで購入し家に届いたその日に全巻読み終えた。
まず、久しぶりに漫画を読んで、漫画ってこんなに読みやすかったっけと思った。
最初人生を諦めかけた男が、人望を得ようと歓心を買おうと色々策を弄して失敗する、そのバカっぷりを笑うだけの漫画であったが、最終的にサラリーマン金太郎みたいに抗争みたいなスケールの騒動になってゆくところは、非常に漫画的であるし、又、人がヒーローになるにはそういうかっこい良い瞬間がないと、結局はカッコよくならないということだ。当たり前やけど。
「希望なき民(ホープレス)」の状態、これは一部の華々しい成功をおさめた人間をのぞいた中年以降は、みんなが襲われる心境だろうけど、それに侵されて生きるしかない、それは"老い"というモノとかぎりなく同義であるから、その状態を受け容れざるを得ないけど、それに抗うようにジタバタすることにさえもあきらめるのは早すぎるということか。バカにされ、年甲斐もなくと罵られ、いつまでやってんねんと揶揄され、陰口を叩かれ、疎まれ、引かれる、というそういうドス黒い気持ちを持ちながらも、まだファイティングポーズを作りながらやりなさいよということか。
すぐあきらめる、すぐいじけるオレは、中々こんな生き方は出来ひんなと思う。旗色を伺ってまずいと思ったら機を見て逃げようとするはずだ。オレは本来。人は本来。
だけれども期せずしてそうやって一生懸命にああだこうだ、こっちが得だ、やれあっちが得だ、こっちの方がマシだ、あっちよりマシだ、あいつより上だ、こいつには負けてる、あいつにはかなわない、でもまだできるはずだ、そうやってジタバタやってることが全て愛らしい。実はとても人間的で魅力を発揮している状態やなと思った。
だから結局は、それで良い、そのままで良い、生きてりゃそれで良いんだと思った。この「生」の肯定。これを忘れないように、日々、楽しんで、そこに居る人と仲良く、もちろんほんとは文句があるんやけれども、ひとまず横に置いて打ちとけあう、心を通わせて、人に依存しないで、自分に出来ること、やりたいことだけをやり続けたら、きっとどうにかなる。オレの生き方はそれしかない。それで良い、これで良い。
黒沢はたぶんそういうことを言っている。
やはり最強であった。