マシュマロ・テスト 成功する子・しない子

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未就学児(4〜5歳くらい)の子供に今マシュマロを一つもらうか少しの間我慢してあとで2つもらうかというテスト(のちにマシュマロテストと言われる)を1960年代に実験した著者がその後半世紀に渡って追尾調査した結果、子供の頃に我慢出来た(自制した)子供は数十年後どのような人生を歩んでいるか?というとても引きのある有名な実験について。気になる結果がどうなったかというと自制することができた子供たちは、概ね社会的な成功を収めていることが分かった。やはり「自制する」という能力は「成功」に必要不可欠である。では社会的な「成功」は先天的に決まっているのか?それとも後天的に変える事は出来るのか?が気になってくる。しかし著者ははっきりと明言しない。その答えは単純ではない。よくある生まれか?育ちか?によって決まるほど人生は単純ではないからだ。それは長方形の縦と横の辺のようにどちらもお互いがお互いに複雑な影響を与えあっている。要はその複雑な組み合わせである。しかし多くの人がこの答えでは納得しない。はっきりと才能が足りないのか?努力が足りないのか?教えてくれと言う。しかしその単純な二項対立こそが間違っていると指摘する。これが一番大事な視点だ。成功を決定するのが「才能」ならば努力しないが「努力」ならば自分にもできるかも知れないと条件付きでやる人(=自分)本当にその気があるとは言えるのか?その前にまず「あなたはその気がありますか?」という視点こそが大切なのだ。ここのところは本当の意味での理解はすごく難しいし説明も難しいがおそらく正しいと思う。そのほかホットシステムやクールシステム、イフ〜ゼン(もし〜したらその時どうする?)など行動経済学や脳生理学、心理学にも共通するような内容でとても興味深く読んだ。