海辺のカフカ(上)

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昔に一度読んだきりだったので内容をほとんど忘れてしまっていたのでほぼ初見の感覚で読めた。そして今読み終わってから少し時間が経ったのでまた再び内容を忘れ始めているのだが、印象としては騎士団長殺しと同じかそれ以上に面白かった。途中残酷なシーンがあったところ以外はスッスッスーと一気に読み進めることが出来、著者独特のいつもの文章が心地よい。それは例えばこんな一文。→家を出る前に石鹸を使って洗面所で手を洗い、顔を洗う。爪を切り、耳の掃除をし、歯を磨く。時間をかけて、できるだけ身体を清潔にする。ある場合には清潔であるというのは何よりも大切なことなのだ。とか。何気ない一文ではあるがこれを読んだあとそれを実践してしまう自分がいる。また別の文章→「シューベルトは訓練によって理解できる音楽なんだ。僕だって最初に聴いたたきは退屈だった。君の歳ならそれは当然のことだ。でも今にきっとわかるようになる。この世界において、退屈でないものには人はすぐに飽きるし、飽きないものはだいたいにおいて退屈なものだ。そういうものなんだ。僕の人生には退屈する余裕はあっても、飽きているような余裕はない。たいていの人はそのふたつを区別することができない」ほんとに共感する。→我々は帰り仕度をする。てきぱきと要領よく、小屋の中を片づける。食器を洗って戸棚にしまい、ストーブのよごれを掃除する。水桶の中の水を捨て、プロパン・ガスのボンベのバルブを閉める。日もちのする食品を食品棚にしまい、日もちのしない食品は処分する。ほうきで床を掃き、テーブルや椅子の上を雑巾で拭く。表に穴を掘ってごみをそこに埋める。ビニールなんかは小さくまとめて持ち帰る。これ読むと掃除したなるから不思議。共通しているのはとても丁寧に細部まで自覚的に事が成されているということか。下巻はどういう展開になるのか?楽しみにしとこ。