太陽を盗んだ男

今の時代2021年から観た1970年代=昭和の破茶滅茶さ加減は粗野で野蛮だがとてもエネルギッシュだ。国も国民も今から右肩上がりに成長していこうとギンギンにいきり立っている。だがそんな時代の中にも集団からつまはじきにされる者や自ら外れていく者は必ず居て中学校の理科教師の城戸もそんな一人。ある日偶然乗り合わせた観光バスで遭遇したバスジャック犯にあてられて特に何の考えもなしにエキセントリックな行動に出始める。退屈で生ぬるい日常とは好対照に鼻歌まじりに原爆を作る男の目は異様に輝いている。「そんな訳ない」とバッサリ切ってしまえばいつでもこの映画への興味は失えたがもう少しだけもう少しだけと思って見てたら最後まで見てしまった、早よ風呂入らなあかんのに特に好きでもないバラエティを最後まで見てしまった時のような気分。逆にそれだけ引っ張れるパワーがあるとも言えるのかも知れんが。後で見た紹介文にカルト的な人気を誇ると書いていていささかびっくりした。もう単純にそう思えるほどおれは無邪気ではないのかも知れん。長髪の沢田研二がたまに若い時の志村けんに見えて逆に志村けんそういやカッコ良かったなと思った。ヘリから飛び降りる菅原文太が降りるには高すぎるやろっていう高さから飛び降りてたのには吹いてしまった。ほぼ飛び降りだった。菅原文太ほんまに不器用やなあ。それといっつも年齢不詳。池上季実子は時代を経て2021年に見ても可愛いが反権力的な感覚を持つ女性は(女性に限らず)もうほとんどいないのかも知れない。こんなとこから意外なことを気づいたりするから面白い。また昭和の作品も色々見ていこう。