一九八四年

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450ページ超。読み通すのは大変だったがとても面白かった、かの有名なディストピア小説。1945年頃に1984年を思い描いて書かれた内容で今振り返って合っているとか合っていないとか、当たっているから価値があり外れているから価値がないというわけでは全くない。かのアインシュタインでさえたった10年先の未来を読み違えたりしているのだ。それくらい予測は難しいし外れていたとしてもそう大したことではない。大事なことは1人の知性が自分が持ち得た知識や情報を総動員して現状を踏まえ思考を巡らし築きあげた世界観に触れ一読することであり、そこに価値があると思う。そういう意味でこれはイギリス人が実際読んだことはないが知っている小説のNO.1らしいが(その気持ちも凄くわかる)必読の書である。決して読みやすく心地の良い箇所ばかりではないが、この小説を読んでいる間何度も頭の中に「グロテスク」という言葉が浮かんだくらい。色んな意味で。現実にそういう時代がいよいよ本格的にやって来ている。それは不可逆的な道を辿るしかないのだと思う。その時に自分が取りうる態度というものはどういうものか、これから考えることはまさにその事だと思う。その意味でこの本はまた再読すべき本であり広く知られて然るべき本である。