課長島耕作5

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京都に左遷された島耕作の1年。特に悲しい印象的なシーンが多かった。別居中の妻の元に居る娘の奈美がお母さんが帰ってこない家でお父さんに嘘をつくシーン、弱小の広告代理店が大手に仕事を奪われるシーン、フクさんを送ってあげることが出来なくて悲しくて木の上で泣いてる蔵重事業部長。かつ子がイヤイヤでも島のためにと身体張ったおかげで皮肉にも2人に別れがくる桜舞い散るラストシーン。悲しくて悲しくてとてもやりきれない。中でも老いらくの恋を描いた男と女の話はのちの黄昏流星群を作るきっかけに繋がったんではないかと見開きのコメントに弘兼先生がそれらしき文を書いてることからうかがえる。確かにそれまで老人と呼ばれる年齢に差し掛かった男女の話はあまり必要とされなかっただろう。自分自身も若い時は見向きもしなかったし。一般的にニーズがないと判断されたとしてもおかしくはない。けれど人は必ず歳をとる。そこには必ずひとかたならぬドラマがある。その時この漫画にあってくれたおかげで救われる人はきっと多い。年月が経つにつれこういうストーリーはいや増して必要とされるはず。その読みは鋭い。昨年ドラマ化されたのも決して偶然ではない。