この世にたやすい仕事はない

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仕事に燃え尽きて休職中の中年女性がハローワークで紹介された短期の仕事先で経験した物語。

 


著者の作品は芥川賞受賞作「ポトスライムの舟」以来であったが、自分のバイト先で偶然見かけたこのタイトルがまさに自分に言われているように感じたので図書館で借りて読んだ。

 


てっきり勝手にエッセイだと高を括っていたので小説だと知り読み進めることに一瞬躊躇したが、いざ読み進めてみると面白く、途中まで読んでいた他の本をごぼう抜きしてこちらを読み終えた。

 


その一風変わった特異な職業、小説家を監視カメラで観察する職業。路線バスのアナウンスを作る仕事。おかきの袋裏の記事を作る仕事や街中のポスターを貼る仕事。巨大な森林公園の小屋の管理人など。一回聞いただけでは理解しにくいが確かに世の中に存在するであろう仕事の数々を経験していく。そして最後に再び前の仕事へと戻る足がかりを見つけて物語は終わる。少しばかり疲れてしまう時もある。そんな時に逃げたり離れたりすることが出来る、それを許す社会であれば良いなと思う。「職業に貴賎なし」は本当で、どんな仕事でも自分なりに考えて責任感を持って全うしていれば素晴らしい。収入が低いとか保障が薄いだとかはあるにせよ。それはあまり本質とは関係がない。なぜならば「この世にたやすい仕事はない」のだから。

 


誇りを持って働こう。