自虐の詩 下巻

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「ラストに思ってもみないオチが…」という前情報を知ってたからどんな風なオチがくるのかひょっとするともっと悪い方へ落とすのか?と思ってちょっとビビりながら読んだけど、予想は外れて感動の方向へしかも深い感動の方へと大きくジャンプして本当に良かった、とても感動した。何回も何回も噛み締めたくなる良いオチだった。一体どの時点でこの構想があったのか?おそらく最初からそうするつもりで作っているのだろう。というかそれが思いついたからこそ作ったのではないか?そんな気がした(全然違う可能性もあるが)だが最初からか途中からかそのどちらにしてもこの作品の評価が変わることはない。四コマの世界に新たな革新的な1ページを刻んだことは間違いない。ラストに用意された中学時代の友人熊本さんとの再会。彼女の存在は時が経てば経つほど大きくなっていったのだろうが、そもそも幸江にとっても熊本さんにとってもお互いがそういう大切な存在になりえたのはその当時の2人を取り巻く「不幸」な環境があったからこそだと言える。だからこそ「幸」や「不幸」のそのどちらにも等しく価値があり、なにかを捨てればなにかを得、なにかを得ればなにかを捨てるという考えに至るのだろう。そして「人生には明らかに意味がある」だからただ生きていればそれで良い、それをただ噛みしめて生きて行けば良いということではないだろうか。時間がやがて解決すると言えば簡単かも知れないが、この境遇に居る事には必ず意味があるのだ、なかなかそこまで達観して生きることは難しいが、本当にその通りと思う。